So-net無料ブログ作成

【実話怪談】雪の夜の怪異

 関東にも雪が積もるようになってきた今日この頃。この時期になると思い出す、個人的には一番ゾッとした体験を語りたいと思います。実話です。

◆雪の夜の怪異
足跡.JPG

 とある地方都市で務めていたときのことです。普段は車で通勤しているのですが、その日は夜遅くから雪が積もるという予報。そこで普段使用しない電車で通勤することにしました。
 今夜からの雪の予感を確実に感じさせてくれる、どんより雲の空と肌寒い朝。同僚たちが香りと湯気の立ち込める給湯室でコーヒーを飲みながら雑談に花を咲かせています。私はというと、最終電車の時間が気になるので、すでにパソコンの前で格闘していました。
 しかし、こういう時に限って雑談は花咲くもの。いや、参加しないからこそ余計にそう感じさせるのかもしれません。普段よりも騒がしい感じがします。女性たちの「きゃー」とか「やだー」とかの軽い悲鳴。どうやら気のせいではないようです。思わず聞き耳を立てざるおえません。朝の散歩で遭遇したとか、第一発見者、警察、救急車など何やら物々しい単語が飛び交っています。自分なりに話を組み立てると、どうも同僚の一人が早朝に首吊りの現場に遭遇したとのことらしいです。
 いつもなら我先にとその輪の中に参加するのですが、今日は帰りの終電車が気になる日。参加する余裕もなく、パソコンの画面に集中せざるおえませんでした。
  昼休みもろくに取らないまま、夕方、そして夜へ。帰社時間が来て、一人減り、二人減り、最終電車の時刻が近づいてくる時刻へ。仕事はまだ上がりそうにはありません。
 「これは、歩いて帰ることになりそうだ・・・・」
夜の月.jpg

 幸い雪はまだ降り始めていません。今日のうちに仕事を片付けて提出してしまえば、明日は午後からゆっくりと出社できる。そんなことを考えながら仕事がようやく終わったのは午前1時を回りました。
 「まいった。やはり雪か・・・」
 雪は、天気予報どおりに降り始め、うっすらと積もり始めてきています。最終電車はとっくに過ぎ、歩いて帰ることに。会社から自宅までは歩くと1時間はかかります。
 
社員専用の会社の扉の鍵をかけ、傘をさしながら、
今日の一日をなにげなく振り返りました。
 「そういえば、今日の朝にAさんが首吊りの事故現場に遭ったことを喋っていたなぁ。」嫌なことを思い出しました。しかもAさんの自宅は私の家のそば。ちょうど帰る方向です。「どこで見たんだろう」「どんな状況だったんだろう」考えるのを止めようと思えば思うほど意識は「それ」に引っ張られていきます。

 地方都市の真夜中の1時。こんな時間に歩いている人は誰もなく薄暗い街灯と、たまに通り過ぎていく車のライトがうっすらとつもり始めた雪を白く照らしていきます。真夜中の雪の日は妙に静かで、通り過ぎる車の雪の上を走るシャーという音だけが時折聞こえるだけです。
tasogare01-d67de.jpg

 陸橋にさしかかりました。ふと見ると雪の足跡が見えます。「こんな時間に自分以外にも歩いている人がいるんだな」その足跡は駅の方から歩いてきたようです。足跡はまだ新しく、ほぼ自分と同じ時間を歩いてきたのが分かります。その足跡はぐるりと上がっていく錆びた
鉄板の螺旋階段へとつながっています。

階段3.JPG
 「これは、ちょうどいい・・・」鉄の上につもり始めた雪は滑りやすいもの。先についたその足跡に自分の足を乗せ、慎重に一段一段上がっていきました。
 足跡は、ちょうど自分と同じぐらいです。男の人の足跡・・・。なぜか脳裏にビジネス姿のサラリーマンの姿が浮かびました。
 階段を上り終え、
踊り場に出ました。
 「えっ?」先人の足跡は踊り場でぷつっと消えていたのです。今まで、その足跡に重ねるように歩いていた自分は上げた足を一瞬止め、それからゆっくりと真新しい雪の上にそっと乗せることになりました。「足跡が消えている・・・・」思わず顔を見上げました。
 階段の踊り場。上がり切るには途中であるにも関わらず足跡がそこで消えているのです。まるで、踊り場から飛び降りたかのように。

 まさか飛び降り自殺?しかし、踊り場から飛び降りるにも距離があり、てすりにも雪が積もったまま。そこから飛び降りた気配などまったくなさそうです。
 念の為に2歩、3歩と前に進み手すりに手をついて下を見ました。

階段2.JPG
 街灯に照らされたその下は、きれいにうっすらと積もったコンクリートの路面だけ。何もありません。
 今歩いてきた自分の足跡。そして
駅から歩いてきた足跡が階段のところで合流して重なっている、その光景がなんとも言えない気持ちにさせてくれます。
 自分が重ねていた足跡の持ち主は一体どこへ?
 何が起きたのか混乱した頭で結論がまったく出ないまま、真っ白な雪の上を恐る恐る上り始めました。どう見ても、どこを見ても先客の足跡は見当たらず、自分の足跡だけが新たに付けられていきます。
階段.jpg

 陸橋にあがり、何度も後ろを振り返りましたが、真夜中の街灯に照らされているのは自分の足跡だけでした。
 階段を下りて、再び歩き始めたとき、朝の首吊り現場の話と、先程脳裏に浮かんだ飛び降り自殺が一致してしまいました。もしかして朝の話の現場は・・・・。

 思わず振り返ります。遠くに見えるさっきまで自分が上がってきた階段の踊り場。

 そこには、
薄暗い街灯に照らされ、背広姿の男が傘もささずにこちらを向いて立っていました。

 凍てつく寒さが一気に身体を襲います。もはや後ろを振り向く勇気はなく、滑りそうになりながらも足早に立ち去りました。


 翌日、Aさんに問い詰めました。首吊りを見た場所はここじゃないのかと。Aさんはこともなげに、

 「ああ、そこ、そこ。よくわかったね?誰に聞いたの」
 
その道はそれ以来通らないことにしました。
階段23.jpg
こんな記事もどうぞ

タグ:実話怪談
来たよ(30)  コメント(11)  [編集]
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 30

コメント 11

middrinn

コメントしたら、憑かれそう((;゚Д゚)ヒィィィィィ!
だけど、「螺旋」階段が気になります(^_^;)
by middrinn (2019-02-18 09:21) 

johncomeback

鳥肌(大阪ではサブイボ)が立ちました。
僕も子供の頃、一度だけ幽霊らしきモノを
見た事があります。やはり雪の夜でした。
by johncomeback (2019-02-18 15:47) 

横 濱男

怖くて読めませんでした。。(´д`)
by 横 濱男 (2019-02-18 19:57) 

Hide

そろそろ丑三つ時・・・やはり怪談は怖い!
階段も?雪の日は滑りますので気をつけないと。
by Hide (2019-02-19 01:56) 

ロートレー

怖い話ですね~~
私は小さいころから怖がりで、おじさんたちから怪談話を聞いた夜は、北はずれにある遠くて暗い便所に行けなかったです。
便器の下の暗く深い便槽の中から怪しい手が出てきそうで~~~~、気が付くと布団が濡れていました~~~~~~
by ロートレー (2019-02-19 08:15) 

ワンモア

☆middrinn さま
 コメント入れても大丈夫ですよ(笑)螺旋階段の画像はイメージです(^^)
 実は、後日、もう一度だけ行って写真を撮ってきたんですが、非公開ということで。
☆johncomeback さま
 雪の日は神秘的で異世界に迷い込んだような感じになりますね。
☆横 濱男 さま
 全部読めませんでしたか。画像だけでも怖いですよね。
☆Hide さま
 お待たせしました。雪の日は滑りやすいので階段も怖いです><
☆ロートレー さま
 昔のトイレは離れていて余計に怖いですよね〜。田舎に行った時、子供の頃は玄関前でしてました(笑)

by ワンモア (2019-02-19 08:55) 

caveruna

勝手に映像が浮かびます…
陸橋を登り始めたところで、
もうゾゾっとしました。
外って屋内ほど怖くないと思っていましたが、うちも近くに陸橋あるので、なんだか通る時に思い出しそうです。
冬の怪談ありがとうございます。
by caveruna (2019-02-19 14:37) 

Hide

怖い話を読むのは暖房費がかかります・・・
でも待ってます・・・次回は雨の日でしょうか?
滑りませんので振り向かず逃げて!先読みか?
by Hide (2019-02-19 16:45) 

まりっぺ

もうこれから就寝しようと思いながらもブログ巡りを…
明日の朝読むべきだったかな(笑)
by まりっぺ (2019-02-20 00:02) 

ys_oota

こ、怖…
きっと私なら、これは誰かのいたずらだ!と自分に言い聞かせて、足早に立ち去っていたことでしょう…。
by ys_oota (2019-02-20 00:58) 

ワンモア

☆caveruna さま
 いつかはブログにあげようと思いつつ数年。ようやく上げることができました。なんか成仏したような気がします^^
☆Hideさま
 雨の日怪談ですね(笑) 実は・・・。
☆まりっぺさま
 コメントありがとうございます^^ 雪の晩に思い出しませんように・・・
☆ys_ootaさま
 イタズラだったらどんなによかったか。足跡が消えているのを見て、思考停止しちゃいました。
by ワンモア (2019-02-20 15:33) 

Copyright © 1/144ヒコーキ工房 All Rights Reserved.

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。